Dedication
想い
彫蓮という名前の由来は、初めて彫師として旗揚げした場所が、埼玉県の蓮田市だったというのもありますが、もう一つの意味もあります。
入れ墨とは字のごとく墨を人の肌にうちこんでいく。この作業は一生消えることのない刻印を人様に与えるわけです。
しかし、これも寿命というものがあり、艶やかであった色もやがて肌理は無くなり、みずみずしさも失われてゆきます。
私の作品は、華が咲き、やがてしぼんでゆくように、その背負っていた人間とともに年老い、やがて滅びてゆきます。後には何も残りません。これが現実なのです。
けれども、永遠ではないからこそ、老いてゆくからこそ、この儚い時間そのものが揺るぎない生命の美しさであるのだと思っています。
一蓮托生という言葉があります。
これから死ぬまで、苦しいときも楽しいときも一生共にしてゆくと言う事。また、死後極楽で同一の蓮華に身を託すと言う事。
そして、一人一人の人生に印をつけてゆく私も入れた人達と共に歩んでゆき、一生涯この職業に身を投じるということを誓うため、この一蓮托生の一文字を取って初代彫蓮という名に決めました。
やがて私の仕事が次の若い人達に認められ、さらに技術が上がってゆくように、そうなってもらうためにも、一日一日腕を磨いてゆきます。
新しい彫師、又、一般の人達の意識が更に向上し、素敵な次代へつなげる事が出来てこそ、私の華は実を結ぶ事が出来るのではないでしょうか。